島根大学病院総合診療専門医コース
研修プログラムについて
島根県には、出雲圏域や松江圏域といった人口が密集し医師も充実した都市部から、県中央部から県西部、離島や中山間地域といった比較的限られた医療資源の中で医療を提供することが求められる地域まで、様々な地域が存在します。
都市部と離島・中山間地域では医療資源の充実度は異なり、また診療所と病院では医療機関の規模が異なるため、そこで働く医師に求められるものも異なります。都市部では様々な資源を適切に利用できるマネジメント力や多種多様なニーズに応じる能力が総合診療医には求められ、いわゆるへき地では患者及び地域からのより幅広いニーズに対応できる能力が総合診療医に求められます。そして、診療所では幅広い領域をカバーする診療能力や地域をケアする能力がより求められ、病院では重症度の高い疾患に対する診療能力や病院内での多職種連携や管理・運営・教育に対応する力がより求められます。
島根大学医学部と大田市はこのように幅広い能力をもつ医師が必要とされる島根県において、地域医療の充実を図り、総合診療に関る診療・教育・研究の拠点を築くため、2011年10月1日に島根大学医学部内に総合医療学講座を、また大田市立病院内に大田総合医育成センターを設置しました。総合医療学講座の役割は、総合診療を担う医師の育成プログラムの開発・研究、医療システムや予防医学の研究、地域医療チームの介入効果の研究、臨床の実践を通じた教育・研修・研究であり、また大田総合医育成センターの役割は、診療及び総合診療を担う医師を育成するための医学生及び若い医師の教育です。そして当講座及びセンター開設時の理念を提示します。
「10年、20年後あらゆる患者に対応できる守備範囲の広い『本当に頼りになる総合診療医』を育成し、島根県内の何処に住んでいてもしっかりとした医療が受けられるように地域医療を再生させること。」
このたび新専門医制度のもと当コースでは下記の理念と方針に基づき総合診療医を育成します。
【教育理念】
島根県内各地で、病院・診療所・地域の幅広い患者のニーズに応え、頼りになる総合診療医を育成します。
【教育方針】
- 1) 様々な問題に真摯に向き合い、共感能力に優れた総合診療医を育成します
- 2) 自己を振り返り、学び続ける姿勢を持つ総合診療医を育成します
- 3) 地域から頼りにされる総合診療医を育成します
- 4) 診たてのよい総合診療医を育成します
研修スケジュールについて
【後期研修1年目】
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 1 | 2 | 3 |
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島根大学 | 大田市立病院 | ||||||||||
救急 | 内科 | 小児科 | |||||||||
水曜日18時〜 家庭医・総合医 勉強会 |
- 島根大学の救命救急センターでは、救急専門医の指導の下、各科専門医と連携して小児・内科・外科を含めた全科に対応する1次~3次救急の初療を担当する。
- 大田市立病院では、内科専門医、小児科専門医の指導のもとで各臓器別研修、一般外来(内科・小児科)、入院対応、救急外来、各種の技術(各種超音波検査・内視鏡検査)を習得する。また週1回半日の領域別研修を行う。
【後期研修2年目】
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 1 | 2 | 3 |
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大田市立病院 | 診療所(小病院)研修 | ||||||||||
内科 | 総合診療専門研修Ⅰ | ||||||||||
水曜日18時〜 家庭医・総合医 勉強会 |
- 大田市立病院の研修は、初年度から引き続いて内科(外来・病棟・救急)を行う。また週1回半日の領域別研修を行う。
- 次年度の後半から総合診療研修Ⅰを行う。本人の将来の方向性及び希望に応じて、研修先と調整しながら、研修場所(診療所・小病院)、期間を設定する。
【後期研修3年目】
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 1 | 2 | 3 |
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診療所(小病院)研修 | 出雲市民病院 | ||||||||||
総合診療専門研修Ⅰ | 総合診療専門研修Ⅱ | ||||||||||
水曜日18時〜 家庭医・総合医 勉強会 |
- 総合診療専門研修Ⅰは、津和野共存病院、浜田市国民保健診療所連合体、加藤病院、大曲診療所、隠岐病院、隠岐島前病院などから選択する。
- 最後の総合診療専門研修Ⅱは、出雲市民病院で内科・総合診療・リハビリテーションなどの専門医の指導のもと研修を行う。
追記事項
- 専攻医は、出雲家庭医療学センターの指導医及び専攻医とともに週1回、出雲市民病院にて水曜日18時~20時に家庭医療勉強会に参加する。内容は、ポートフォリオ作成支援、common disease勉強会(咳、高血圧について、女性診療について、整形mini-OSCEなど)、コアレクチャー(地域包括ケア、行動変容、患者中心の医療など)が含まれる。研修場所が移動しても、出雲市-大田市間であれば直接参加することができ、さらに遠方での研修期間中であればテレビ会議システムを通じて、3年間通じて勉強会に参加できる環境にある。
- 大田市立病院にて早朝勉強会(Journal Club・心電図勉強会)などを行っている。
研修終了後
- 3年間の後期研修終了後に、家庭医療専門医試験を受験します。
- 研修終了の翌年についてはFaculty Developmentのコース受講と専門医試験準備の支援を受けながら、島根県内で勤務することを推奨していますが、必須ではありません。
募集要項
応募資格 | 既に医師国試験に合格したもの。2004年(平成16年)以降の医師国家試験合格者については、初期臨床研修修了者および終了予定者 |
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募集人数 | 3人(審査中) |
研修期間 | 3年 |
応募期間 | 日本専門医機構のスケジュールに従う |
島根大学病院総合診療専門医コース研修プログラム(2020年版)は、こちらから。。。
お問い合わせ
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島根大学医学部総合医療学講座
講師 木島 庸貴
sougou@med.shimane-u.ac.jp